○上越地域消防事務組合火災原因及び損害調査規程

令和5年12月12日

訓令第7号

上越地域消防事務組合火災原因及び損害調査規程(平成12年上越地域消防事務組合訓令第14号)の全部を改正する。

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づき、火災の原因及び損害の調査の執行に関し必要な事項を定めるものとする。

(用語の定義)

第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 火災 人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの又は人の意図に反して発生し、若しくは拡大した爆発現象をいう。

(2) 爆発現象 化学的変化による燃焼の1つの形態であり、急速に進行する化学反応によって多量のガス及び熱を発生し、爆鳴、火炎及び破壊作用を伴う現象をいう。

(3) 調査 火災現場から火災予防を主とする消防行政施策の資料を収集し、及び活用するための質問、現場見分、鑑識、鑑定、実験、照会等の一連の行動をいう。

(4) 鑑識 火災の原因及び損害の判定のため、専門的な知識、技術、経験及び機器を活用し、総合的な見地から具体的な事実関係を明らかにすることをいう。

(5) 鑑定 火災にかかわる物件の形状、構造、材質、成分、性質及びこれらに関連する現象について、科学技術的手法により、必要な試験及び実験を行い、その結果を基に火災原因の判定のための資料を得ることをいう。

(6) 関係者 法第2条第4項に規定する関係者をいう。

(7) 関係者等 関係者及び火災の発見者、通報者、初期消火者その他調査の参考となる情報を提供しうる者をいう。

(8) 調査員 調査に従事する消防職員をいう。

(9) 局調査員 第10条の規定に基づき消防局長が指定する者をいう。

(10) 主任調査員 第10条の規定に基づき消防署長(以下「署長」という。)が指定する者をいう。

(11) 建物 土地に定着する工作物のうち屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設けた事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいう。

(12) 建物の収容物 柱、壁等の区画の中心線で囲まれた部分に収容されている物のほか、バルコニー、ベランダ等に置かれた物をいう。

(13) 森林 森林法(昭和26年法律第249号)第2条第1項に規定する森林をいう。

(14) 原野 自然に雑草又はかん木類が育成している土地で、人が利用しないものをいう。

(15) 牧野 主として家畜の放牧又は家畜の飼料若しくは敷料の採取の目的に供される土地(耕地の目的に供される土地を除く。)をいう。

(16) 車両 原動機を用いて陸上を移動することを目的として製造された用具であって自動車、汽車、電車及び原動機付自転車をいう。

(17) 被けん引車 車両によってけん引される目的で造られた車及び車両によってけん引されているリヤカーその他の軽車両をいう。

(18) 船舶 独立機能を有する帆船、汽船及び端舟並びに独立機能を有しない住居船、倉庫船、はしけ等をいう。

(19) 航空機 航空法(昭和27年法律第231号)第2条第1項に規定する航空機をいう。

(20) 用途 建物、車両、船舶、航空機等が占有され、又は使用されている目的をいう。

(21) 業態 原則として、事業所において業として行われている事業の態様(教育、宗教、公務、非営利団体等の諸活動を含む。)をいう。

第2章 調査業務体制

第1節 調査の原則

(調査の限界)

第3条 調査は、法に定める事項に限り行うものであって、犯罪の捜査に関与し、又は関係法令の規定に抵触しないよう注意しなければならない。

(調査の基本)

第4条 調査は、物的証拠を主体として、関係者等の申述に基づいて検討を加え、科学的方法による合理的な事実の解明を図らなければならない。

(調査権限の行使)

第5条 調査の権限は、公正かつ適正に行使し、個人の自由及び権利を不当に侵害することのないように注意しなければならない。

(調査の区分及び範囲)

第6条 調査は、火災原因調査及び火災損害調査に区分し、その範囲は次に掲げるとおりとする。

(1) 火災原因調査

 出火原因 火災の発生経過及び出火箇所

 発見、通報及び初期消火状況 発見の動機、通報及び初期消火の一連の行動経過

 延焼状況 建物火災の延焼経路、延焼拡大要因等

 避難状況 避難経路、避難上の支障要因等

 消防用設備及び特殊消防用設備等の状況 設置、使用、作動等の状況

(2) 火災損害調査

 人的被害の状況 火災による死傷者、り災世帯、り災人員等の人的な被害状況及びその発生状況

 物的損害の状況 火災による焼き、消火、爆発等による物的な損害の状況

 損害額の評価等 火災により受けた物的な損害の評価及び火災保険等の状況

(調査結果の管理)

第7条 予防課長及び署長は、調査により得られた情報及び調査結果から作成された文書等の適切な管理に配意するものとする。

(調査結果の活用)

第8条 予防課長及び署長は、調査結果を分析及び検討し、火災の実態を明らかにするとともに、消防行政に反映できる資料を整備し、活用することができるように努めなければならない。

第2節 調査体制

(調査責任等)

第9条 署長は、管轄区域内の調査責任を有する。ただし、複数の管轄区域にまたがる火災については、別に定めるものとする。

2 署長は、火災の覚知とともに調査を開始しなければならない。

3 署長は、調査員に調査を行わせることができる。

(調査員の指定)

第10条 消防局長は、調査を実施するため、予防課職員の中から局調査員を指定しておかなければならない。

2 署長は、調査を実施するため、所属消防職員の中から調査員を指定しておかなければならない。

3 署長は、調査員の中から、消防士長以上の階級にある者を主任調査員として指定するものとする。

4 前2項の規定により指定された調査員は、所轄署長の指示に基づいて調査に着手し、最初から最終決定を得るまで調査を継続して行わなければならない。

(調査の協同)

第11条 署長は、調査上特に必要がある場合は、調査員として指定されている者以外の消防職員を派遣して調査に協力させるものとする。

(調査体制の確立と技術の向上)

第12条 予防課長及び署長は、常に機材の整備を図り調査体制の万全を期するとともに、調査員の調査技術の向上に努めなければならない。

(局調査員の派遣)

第13条 署長は、調査上特に専門的な技術又は知識を必要と認めるときは、予防課長に対し、局調査員の派遣を要請することができる。

2 予防課長は、前項の規定による要請があった場合は、火災の状況等を勘案し、局調査員を派遣するものとする。

3 予防課長は、前項の規定にかかわらず、特に必要があると認めるときは、局調査員を派遣することができる。

(鑑識等の依頼)

第14条 署長は、予防課長に対し原因究明に必要な鑑識、鑑定、実験等(以下「鑑識等」という。)を依頼することができる。

2 予防課長は、焼損物件の鑑定に関し、科学的手法による成分分析、性状解析等を特に必要と認めるときは、関係機関又は学識経験者に鑑定を依頼することができる。

(通訳人の要請)

第15条 署長は、調査上特に通訳を必要と認めるときは、予防課長に対し通訳人の派遣を要請することができる。

2 予防課長は、前項の規定による要請があった場合は、調査状況を勘案し通訳人を派遣するものとする。

第3節 調査本部の設置及び運営

(調査本部の設置)

第16条 消防局長は、大規模火災及び社会的影響度の高い火災に際し、機能的かつ効率的な調査の執行の必要があると認めるときは、調査本部を設置する。

(調査本部の設置場所)

第17条 調査本部は、消防局庁舎内に設置し、必要に応じ調査本部のもとに現地調査本部を設置することができる。

(調査本部の編成)

第18条 調査本部に調査本部長、調査副本部長、調査執行責任者、調査本部運営責任者及び調査本部員を置く。

(調査本部長)

第19条 調査本部長は、消防局長をもって充てる。

2 調査本部長の責務は、次に掲げるとおりとする。

(1) 調査執行責任者及び調査本部運営責任者の指揮監督並びに調査本部設置に係る火災(以下「本部設置火災」という。)の調査の執行に関すること。

(2) 本部設置火災の現場の保全、情報管理及び関係機関との対応に関すること。

(3) 前2号に掲げるもののほか、調査本部の運営統括に関すること。

(調査副本部長)

第20条 調査副本部長は、予防課長をもって充てる。

2 調査副本部長は、調査本部長を補佐するとともに、調査本部長に事故があるときは、その職務を代行する。

(調査執行責任者)

第21条 調査執行責任者は、署長をもって充てる。

2 調査執行責任者は、本部設置火災の保全及び調査執行の指揮運営を行うものとする。

(調査本部運営責任者)

第22条 調査本部運営責任者は、予防課副課長をもって充てる。

2 調査本部運営責任者は、調査本部の運営、本部設置火災の情報管理及び関係機関との対応等の指揮運営を行うものとする。

(指定調査員)

第23条 消防局長は、本部設置火災の調査体制を確保するため、火災調査業務に精通している者及び専門的知識を有する者の中からあらかじめ調査員を指定するものとする。

2 前項の規定により指定される調査員(以下「指定調査員」という。)は、調査執行責任者及び調査本部運営責任者の指揮の下に、本部設置火災の調査を行うものとする。

3 前2項に定めるもののほか、指定調査員に関し必要な事項は、予防課長が別に定める。

(調査本部員)

第24条 調査本部員は、局調査員、管轄する消防職員、各署所主任調査員及び指定調査員の中から調査本部長が指定し、本部設置火災の調査に専従するものとする。

(報道機関等に対する発表)

第25条 本部設置火災について報道機関等に発表する場合は、調査本部内で調整を図り、発表するものとする。

(調査本部の解散)

第26条 調査本部長は、調査本部の機能を継続する必要がなくなったと認める場合は、これを解散する。

第3章 調査業務の処理

第1節 調査実施上の通則

(調査方針)

第27条 調査は、物的調査と人的調査を併合して行い、原因の決定に当たっては物的調査に主眼を置かなければならない。

(調査員の責務)

第28条 調査員は、調査上必要な知識を習得し調査技術の向上に努めなければならない。

2 調査員は、言動、態度に留意し、関係者等に不快の念を与えないよう注意しなければならない。

3 調査員は、調査員及び消防職員相互の連絡協調を図り、相互に協力して調査を行うようにしなければならない。

4 調査員は、関係ある司法警察職員と緊密な連絡を保ち、相互に協力して調査を行うようにしなければならない。

5 調査員は、調査の経過その他参考となるべき事項を記録しておかなければならない。

(写真撮影)

第29条 調査員は、火災現場において原因調査上必要あるものについて写真撮影を行わなければならない。

2 前項の写真は、写真説明書(第1号様式)に必要な事項を加えて保存するものとする。

(立入りの原則)

第30条 調査員は、調査のため火災現場及びその他関係のある場所に立ち入ってその状況を検査しなければならない。

2 調査員は、調査現場その他関係のある場所へ立ち入るときは、関係者等の立会いを得て立ち入ることを原則とする。

3 調査員は、必要に応じて、上司の許可を得て定められた以外の服装で調査することができる。

(質問)

第31条 調査員は、関係者等に対して調査上必要な事項を質問し、火災状況の把握に努めなければならない。

2 質問を行うに当たっては、強制的手段を避け、その場所、時間等を考慮して、被質問者の任意の申述を得るようにしなければならない。

3 調査員は、調査のため関係のある者又は被疑者について行った質問によって得た資料のうち、調査上必要と認める事項を、質問調査書(第2号様式その1)及び現場質問調査書(第2号様式その2)により記録するものとする。

4 調査員は、必要により前項に定める以外の方法で、質問によって得た資料を記録することができる。

(少年等に対する質問等)

第32条 少年(18歳未満の者をいう。以下同じ。)並びに身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条に定める身体障害者及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第5条第1項に定める精神障害者(少年を除く。以下「少年等」という。)の関係する火災で、前条に規定する質問を行う場合は、立会人をおいて行うものとする。ただし、立会人をおくことで、真実の申述を得られないと判断されるときは、この限りでない。

2 前項の質問を行うに当たっては、少年等の心情を考慮し、十分な理解をもって当たらなければならない。

3 少年等は、現場見分に立ち会わせてはならない。ただし、年齢、心情その他諸般の事情により支障がないと認められるときは、この限りでない。

第2節 基本的事項の処理

(火災件数の扱い)

第33条 1件の火災とは、1つの出火点から拡大したもので、出火から鎮火するまでをいう。

2 火災件数の取扱いに関する基準は、別に定めるものとする。

(火災の損害区分)

第34条 火災の損害は、次の各号に掲げるとおり区分し、当該各号に定める内容とする。

(1) 焼き損害 火災によって焼けた物、熱によって炭化、溶融、破損した物又は火災の煙による損害をいう。

(2) 爆発損害 爆発現象により受けた物件の破損、汚損、倒壊等の損害をいう。

(3) 消火損害 火災の消火行為に付随しておきる水損、破損、汚損等による損害をいう。

(4) その他の損害 火災により生じた損害のうち前3号の損害以外のものをいう。

(火災の種別)

第35条 火災の種別は、次の各号に掲げるとおり区分し、当該各号に定める内容とする。

(1) 建物火災 建物又は収容物が焼損した火災をいう。

(2) 林野火災 森林、原野又は牧野の樹木、雑草、飼料、敷料等が焼損した火災をいう。

(3) 車両火災 車両若しくは被けん引車又はそれらの積載物が焼損した火災をいう。

(4) 船舶火災 船舶又はその積載物が焼損した火災をいう。

(5) 航空機火災 航空機又はその積載物が焼損した火災をいう。

(6) その他の火災 前各号に定める物件以外のものが焼損した火災をいう。

2 前項各号の火災が複合する場合の火災の種別は、焼き損害額の大なるものによる。ただし、その態様により焼き損害額の大なるものの種別によることが社会通念上適当でないと認められるときは、この限りでない。

3 前項の焼き損害額が同額又は算出されない場合は、火元の火災の種別による。

4 前3項の規定は、爆発損害のみの火災の種別について準用する。

(焼損の程度)

第36条 建物の焼損程度は、1棟ごとに次の各号に掲げるとおり区分し、当該各号に定める内容とする。

(1) 全焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の70パーセント以上のもの又はこれ未満であっても残存部分に補修を加えて再使用できないものをいう。

(2) 半焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント以上のもので全焼に該当しないものをいう。

(3) 部分焼 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20パーセント未満のものでぼやに該当しないものをいう。

(4) ぼや 建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10パーセント未満のもので焼損床面積若しくは焼損表面積が1平方メートル未満のもの又は収容物のみを焼損したものをいう。

(焼損面積の算定)

第37条 建物の焼損面積は、焼損床面積及び焼損表面積に区分して算定するものとする。

(出火日時の決定)

第38条 出火日時の決定は、関係者等の火災発見状況、通報(覚知)時分及び消防対象物の構造、材質、状態並びに火気取扱い等の状況を総合的に検討し、合理的な日時とする。

(世帯のり災程度)

第39条 世帯のり災程度は、1世帯ごとに次の各号に掲げるとおり区分し、当該各号に定める内容とする。

(1) 全損 建物(その収容物を含む。以下この条において同じ。)の火災損害額(以下「損害額」という。)がり災前の建物の評価額の70パーセント以上のものをいう。

(2) 半損 建物の損害額がり災前の建物の評価額の20パーセント以上70パーセント未満のものをいう。

(3) 小損 前2号の規定に該当しないものをいう。

(損害額の算定基準)

第40条 損害額の算定は、火災によって受けた直接的な損害について行い、消火のために要した経費、焼け跡整理費、り災のための休業損失等の間接的な損害を除くものとする。

(火災による死傷者)

第41条 火災による死傷者は、火災、消火活動、避難行動その他の行動により火災現場において火災に直接起因して死亡又は負傷した者をいう。

2 火災による負傷者が受傷後48時間以内に死亡したときは、火災による死者とする。

3 火災による負傷者のうち、48時間を経過して30日以内に死亡した者については、30日死者とする。

4 負傷の程度は、重症、中等症及び軽症に区分し、その基準は、救急事故等報告要領(昭和39年5月4日付け自消甲教発第18号)に基づくものとする。

(出火原因等の分類)

第42条 出火原因分類、用途別分類及び業態別分類は、火災報告取扱要領(平成6年4月21日付け消防災第100号)に規定されている分類表によるものとする。

第4章 調査業務の執行

第1節 火災出場時の調査

(火災出場時の見分)

第43条 火災に出場した消防職員は、消防活動を通じて火災の状況見分に努めなければならない。

2 調査員は、出場途上及び現場において関係者等への質問及び現場の状況から発見、通報、初期消火、火気管理、避難、死傷者、消防対象物のり災状況及び消防用設備等の使用、作動状況等を把握し、事後の調査に活用させるよう配意しなければならない。

3 前項の関係者等への質問は、重複を避け効率的な調査を行うものとする。

4 火災に出場した消防職員は、把握した事項について調査員より報告を求められたときは、火災出場時における見分調査書(第3号様式)により報告するものとする。

(現場の保存)

第44条 現場指揮者(署長の下で現場の指揮統制を行う責任者をいう。)及び隊員は、法第28条の規定に基づく消防警戒区域(以下「区域」という。)を設定し、現場保存に努めなければならない。ただし、区域の設定に当たっては、所轄警察署と連携を密にして行うものとする。

2 現場指揮者は、残火鎮滅のため、出火箇所の可能性のある場所及びその付近の物件を移動し、破壊し、又は原状を変更する場合は、事後の調査に支障を来さないように処置しなければならない。

(死者の取扱い)

第45条 現場指揮者又は調査員は、火災現場において死者があるとき又はあると認められるときは、速やかに署長に報告し、写真、見取図その他の方法により現場保存に努めなければならない。

2 署長は、前項の規定による報告を受けたときは、速やかにこれを消防局長及び所轄警察署長に報告し、又は通報するとともに必要な処置を講じなければならない。

(現場監視)

第46条 署長は、調査上必要があるときは、監視員を配置し、現場保存に当たらせるものとする。

2 前項の監視員は、司法警察職員と協議の上、現場保存区域を決定し、互いに協力してその保存に努めるとともに、次の各号について留意しなければならない。

(1) 現場区域内の物件にみだりに手を触れ、又は原状を変更することのないようこれを防止すること。ただし、緊急やむを得ない事由があるときは、調査員又は上司を経て署長の指示を受けるものとする。

(2) 監視勤務中に発見し、又は見聞した事項その他必要なことについては漏れなく調査員を経て署長に報告すること。

(3) 火元家人その他の者に対し、調査上支障を来すような言動は厳につつしむこと。

第2節 出火原因の調査

(調査指揮者)

第47条 署長は、調査の進行の万全を期するため、調査員の中から調査の指揮者(以下「調査指揮者」という。)を定めなければならない。

2 調査指揮者の責務は、次に掲げるとおりとする。

(1) 現場見分、写真撮影、図面作成等の各担当者の指定及び組織的な調査の進行に関すること。

(2) 捜査機関その他の関係機関との調整に関すること。

(3) 火災調査の記録書類(以下「調査書類」という。)の作成に関すること。

3 調査指揮者は、火災の規模等により主任調査員に当該調査指揮者の職務を代行させることができる。

(主任調査員)

第48条 主任調査員は、調査業務を適正に推進するため、他の調査員に対し積極的に指導又は助言を行わなければならない。

(現場立会人)

第49条 現場の調査は、関係者を現場立会人として立ち会わせた上、実施しなければならない。ただし、特別な事情により関係者の不在等やむを得ないときは、司法警察職員又は関係者の近親者その他適当な者を現場立会人とすることができる。

2 現場立会人は、見分場所又は物件に直接関係する者を優先しなければならない。

3 調査現場において調査のため必要があるときは、関係者の了解を得て、当該火災に関係する物件(以下「物件等」という。)の製造業者等を現場立会人とすることができる。

4 前3項の規定により現場の立会いを求めたときは、安全管理、健康管理、言動等に配意しなければならない。

(火災原因調査)

第50条 調査指揮者は、調査員に第6条第1号に規定する火災原因調査を実施させるものとする。

(現場の発掘)

第51条 出火原因の調査は、現場見分状況及び火災出場時の見分状況並びに関係者等の申述を加え総合的に判断して、出火範囲を限定し、現場の発掘(以下「発掘」という。)を行うものとする。

2 発掘は、出火範囲として限定した区域を周囲から出火箇所付近へ順次実施するものとする。

3 見分に伴う発掘に際しては、立会人の申述に基づく物品配置等に留意し、物件等の原状確保に配意しなければならない。

4 前項の発掘は、原状を復元する観点により行うものとする。

(出火原因等の検討)

第52条 前条に規定する発掘の結果、出火箇所が判定された段階において出火原因の検討を行うものとする。

2 前項の出火原因の検討は、発掘された物件等の鑑識結果及び出火箇所付近の焼損状況並びに延焼経路を参考として行わなければならない。

(調査終了時の措置)

第53条 調査指揮者は、調査現場における全ての調査を終了したときは、関係者に対し終了した旨を通知するものとする。

第3節 火災損害の調査

(火災損害調査)

第54条 調査指揮者は、調査員に第6条第2号に規定する火災損害調査を実施させるとともに、必要に応じてり災した消防対象物の関係者に対し、火災損害申告書(第4号様式その1及びその2)により申告を求めるものとする。

2 火災損害申告書を求めることができない場合又は被害が軽微でその必要がない場合は、火災損害状況調査書(第5号様式)を作成しなければならない。

3 関係者からの火災損害申告書は、これを審査して受理するものとする。ただし、審査の結果、現場における消防対象物のり災状況調査の内容と当該り災申告内容が著しく異なる場合は、質問等によりその矛盾を明らかにし、訂正を求めた後、受理するものとする。

(損害額の算定)

第55条 損害額の算定は、火災損害申告書その他収集した確実な調査資料に基づき、火災報告取扱要領等により決定しなければならない。

(り災の証明)

第56条 署長は、火災の関係者に対し、り災の証明を行うことができる。

2 り災の証明を行う場合には、り災証明申請書(第6号様式)によるものとし、証明に際しては、り災証明書(第7号様式)を交付するものとする。

3 り災の証明は、火災損害調査の結果及び第54条第1項の火災損害申告書の内容に基づき行うものとする。

4 その他、り災の証明に当たり必要な事項は別に定める。

第4節 立証のための調査

(立証のための調査)

第57条 署長は、調査現場において焼損物件等の分解や見分が困難な場合は、日時を改めて、火災原因等の究明に関する詳細な見分及び実験を必要とする調査(以下「立証のための調査」という。)を行うものとする。

2 署長は、立証のための調査を行うときは、第14条の規定による依頼及び第15条の規定による要請に配意し行うものとする。

(焼損物件等の提出)

第58条 署長は、現場において立証のための調査が必要と思われるときは、関係者の了解を得て焼損物件等を提出させるものとする。

2 署長は、前項の規定により任意に提出させた焼損物件等については、資料提出承諾書(第8号様式)により処理するものとする。

3 署長は、鑑識等が終了したときは、努めて焼損物件等を関係者に返却するものとする。

(資料提出命令)

第59条 署長は、前条の規定による焼損物件等の確保が困難と思われるときは、法第34条第1項の規定により、関係者に対し、調査資料提出命令書(第9号様式その1の1)による焼損物件等の提出を命じ、又は報告徴収書(第9号様式その1の2)による報告を求めるものとする。

2 署長は、火災の原因である疑いがあると認められる製品の調査において、当該製品を製造し、又は輸入した事業者から、任意に火災原因調査のために必要な情報が得られない場合は、法第32条第1項の規定により、当該事業者に対し、調査資料提出命令書(第9号様式その2の1)による資料の提出を命じ、又は報告徴収書(第9号様式その2の2)による報告を求めるものとする。

(焼損物件等の保管・返還)

第60条 署長は、焼損物件等の提出があったときは、提出者に対し資料保管書(第10号様式)を交付しなければならない。

2 焼損物件等の保管に関しては、保管票(第11号様式)を付し、保管品台帳(第12号様式)に記載してこれを保管しておかなければならない。

3 焼損物件等を返還するときは、資料保管書と引換えに行うものとし、保管品還付受領書(第13号様式)を徴して返還するものとする。

(官公署への照会)

第61条 署長は、法第32条第2項の規定により官公署に対し調査に関する事項を照会するときは、火災原因調査関係事項照会書(第14号様式)により行うものとする。

第5章 調査結果の記録等

第1節 調査書類の作成

(調査書類の作成及び管理)

第62条 署長は、管轄区域内で発生した火災について、本章の規定により調査書類を作成し、管理しなければならない。

(調査書類)

第63条 調査書類は、次に掲げるとおりとする。

(1) 火災速報(第15号様式)

(2) 火災調査報告書(第16号様式)

(3) 火災報告書(第17号様式)

(4) 火災出場時における見分調査書(第3号様式)

(5) 実況見分調査書(第18号様式)

(6) 写真説明書(第1号様式)

(7) 質問調査書(第2号様式その1)

(8) 現場質問調査書(第2号様式その2)

(9) 火災原因判定書(第19号様式)

(10) 火災原因の立証のための資料

 鑑識・鑑定等結果書(第20号様式)

 鑑定書類

 火災調査関係事項照会書に対する回答文書等

 立証のための文献資料

(11) 防火管理等調査表(第21号様式)

(12) 損害調査に関わる調査書

 火災損害申告書(第4号様式その1及びその2)

 火災損害状況調査書(第5号様式)

 火災損害調査書(第22号様式)

 死者調査書(第23号様式)

 負傷者調査書(第24号様式)

2 調査書類には、調査の内容を明らかにするため必要な図面を作成し、添付するものとする。

3 画像情報又は写真陰画の保存は、指定された方法により保存するものとする。

(調査書類作成の基準)

第64条 調査書類は、火災の程度及び種別に応じて別に定める基準により作成するものとする。

2 調査書類(前条第1項第1号の火災速報を除く。次項及び第66条において同じ。)は、別に定める期限までに作成するものとする。

3 署長は、前項の期限までに調査書類を作成することが困難なときは、消防局長に報告するものとする。

第2節 火災の報告

(火災速報)

第65条 署長は、発生した火災の概要について、火災速報(第15号様式)により、次の各号に掲げる機関へ適宜な方法で即時通報しなければならない。

(1) 消防局長

(2) 各署長

(3) り災地の市長

(調査報告)

第66条 署長は、調査書類を作成したときは、火災調査報告書(第16号様式)により整理し、その都度消防局長に報告しなければならない。

2 署長は、火災による損害額が相当な規模にのぼる火災、特殊な出火原因による火災又は特殊な態様による火災等で消防局長が命じたものについては、第62条の規定により作成した書類の一切を提出しなければならない。

(火災の報告)

第67条 予防課長及び署長は、消防組織法(昭和22年法律第226号)第40条の規定による報告を求められたときは、これを行わなければならない。

2 報告要領については、別に定めるものとする。

(市長への通報)

第68条 署長は、火災通報書(第25号様式)に火災調査報告書(第16号様式)の写しを添えて、り災地の市長に通報するものとする。

第3節 照会の対応

(照会の対応)

第69条 予防課長及び署長は、裁判所、捜査機関等から調査結果の内容について照会があったときは、調査書類の抄本を送付し、又は内容について回答することができる。

(照会対応の原則)

第70条 前条の照会に対する対応は、個人の名誉及びプライバシーを尊重するとともに、消防行政に及ぼす影響に細心の注意を払い、主管課と協議の上対応するものとする。

(証人、参考人としての出廷等)

第71条 調査員は、自己の担当した調査に関して捜査機関から参考人として出頭を要請され、又は裁判所から証人等として呼出し、若しくは召喚を受けたときは、主管課にその事案概要を報告しなければならない。

2 前項により出頭した結果についても、同様とする。

第6章 震災時の火災調査

(震災時に発生した火災の調査執行体制)

第72条 消防局長は、地震の発生直後から消防局長が発令する非常体制が解除されるまで(以下「震災時」という。)に発生した火災の調査に対し、組織的な執行体制を確立するものとする。

(震災時に発生した火災の情報収集)

第73条 予防課長及び署長は、震災時に発生した火災について、地震の発生直後から災害状況の記録及び調査のための情報収集に努めなければならない。

(震災に伴う火災の指定)

第74条 消防局長は、調査を円滑に実施するために、震災指定火災(震災時に発生した火災のうち、消防局長が指定した期間及び地域に発生した火災をいう。以下同じ。)を指定することができる。

(震災指定火災の調査活動)

第75条 署長は、震災指定火災の調査については、り災の証明を行うための火災損害調査を優先するとともに、出火原因及び延焼経路等の記録に努めるものとする。

2 震災指定火災の調査方法については、別に定めるものとする。

(震災指定火災における調査員の派遣命令等)

第76条 消防局長は、震災指定火災の調査のために必要と認めるときは、署長に管轄区域外への調査員の派遣を命じることができる。

2 署長は、管轄区域内の被害が甚大で、震災指定火災の調査活動に支障が生じる場合は、予防課長に調査員の派遣を要請することができる。

(震災指定火災のり災証明)

第77条 署長は、震災指定火災の調査結果に基づき、管轄区域の構成市防災部局等と連携し、迅速なり災の証明に努めるものとする。

第7章 補則

(書類の保存)

第78条 署長は、第62条の規定により作成した書類を1件の火災ごとに一括し、保存しなければならない。

(準用規程)

第79条 この規程は、火災以外の災害、事故等の調査に準用する。

(委任)

第80条 この規程の施行に関し必要な事項は、消防局長が別に定める。

(施行期日)

1 この規程は、令和6年1月1日から施行する。

(経過措置)

2 この規程の施行の際現に交付され、又は保有している改正前の上越地域消防事務組合火災原因及び損害調査規程に規定する様式は、当分の間、適宜、適切な修正を加えて、改正後の上越地域消防事務組合火災原因及び損害調査規程に規定する様式の相当する様式として使用することができる。

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上越地域消防事務組合火災原因及び損害調査規程

令和5年12月12日 訓令第7号

(令和6年1月1日施行)

体系情報
第7編
沿革情報
令和5年12月12日 訓令第7号