○上越地域消防事務組合再燃火災防止対策(建物火災)基準

昭和56年12月16日

訓令第7号

(目的)

第1条 この基準は、火災鎮圧後の消防対象物(以下「対象物」という。)に対する残火の処理基準を定めるとともに、対象物の関係者(以下「関係者」という。)に対して、一般管理責任に基づく、監視・警戒等の協力を求め、再燃火災等の事故発生防止を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この基準において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 火災鎮圧 火勢が消防隊の制ぎょ下に入り、拡大の危険がなくなったことを現場最高指揮者が認定したときの状態をいう。

(2) 残火処理 火勢鎮圧後、残り火を点検処理し、鎮火に至るまでをいう。

(3) 鎮火 現場最高指揮者が再燃のおそれがないと認定したときの状態をいう。

(指揮上の基本原則)

第3条 残火処理活動を行うための指揮は、現場最高指揮者が行うものとする。

(指揮体制)

第4条 残火処理活動を行うための指揮体制は、現場最高指揮者が火災の規模及び状況により決定するものとする。

(指揮要領)

第5条 現場最高指揮者は、残火処理活動を漏れなく、かつ、効率的に処理するため次の各号の定めるところにより行うものとする。

(1) 現場最高指揮者は、残火処理活動のために対象物を破壊する場合、過剰破壊とならないよう、破壊箇所、破壊範囲及び破壊要領等を指示するものとする。

(2) 現場最高指揮者は、残火処理活動のために、注水する場合は、対象物の構造、用途及び燃焼物等により、残火処理活動に適した注水種別を選定し、その要領を指示するものとする。

(3) 現場最高指揮者は、残火処理活動のために、対象物を破壊する場合及び焼残物の搬出等を行う場合は、火災原因の調査上必要な現場の保全又は証拠の保全について指示するよう努めるものとする。

(4) 現場最高指揮者は、残火処理活動上、危険な状態になっている場合が多いことを周知徹底させ、特に壁体の倒壊、瓦等の落下、柱等の転倒及び踏みぬき等の安全管理に十分配慮するものとする。

(残火処理基準)

第6条 現場最高指揮者は、火災鎮圧後の対象物及び強い放射熱を受けたと認められる対象物に対し、残火処理基準(別表)に従い、危険性解除の確認を行うものとする。

(監視、警戒等の措置)

第7条 残火処理後において、周囲の事象等その状況により、監視又は警戒を必要と認めたときは、次の各号に定めるところにより行うものとする。

(1) 現場最高指揮者は、消防警戒区域を設定したときは、消防隊又は消防職員を現場に配置し、監視及び警戒に当たらせるものとする。

(2) 現場最高指揮者は、現場を引き揚げるときには、関係者等に現場の監視・警戒や、現場保全区域の保全等について、再燃火災防止依頼書(別記様式)を交付して協力を求めるものとする。

(関係者への指示)

第8条 指示する関係者の範囲は、次の各号のとおりとする。ただし、火元対象物等で残存部分の価値が滅失し、かつ、事故発生危険の少ないと認められるものは除くものとする。

(1) 火元対象物の関係者

(2) 類焼した対象物の関係者

(3) 強い放射熱を受けたと予想される対象物の関係者

(4) 前3号に掲げるもののほか、現場最高指揮者が必要と認める関係者

(交付の方法)

第9条 現場最高指揮者は、必要と認める関係者等に、次の各号の要領で再燃火災防止依頼書(別記様式)を交付するものとする。

(1) 交付に際しては、特に危険と思われる場所等を口頭で具体的に説明するものとする。

(2) 再燃火災防止依頼書(別記様式)は、管轄する消防署長名とし、控え欄には、交付した日時、所要の事項を可能な範囲で聴取して保存する。

この基準は、昭和57年1月1日から施行する。

(平成8年3月27日訓令第11号)

この基準は、平成8年4月1日から施行する。

別表(第6条関係)

残火処理基準

区分

程度

区分

場所

点検要領

Ⅰ ぼや・部分焼等の火災建物

1 外見上、鎮火の確認が困難な部分

1 小屋裏、天井裏、床下及びダクト、パイプスペース等のたて穴

1 点検口(押入れの天井部分)等から内部を視認する。

2 天井、床、ダクト等の一部を破壊して確認する。

2 モルタル壁等の二重壁内

1 変色部分等の表面を素手で触れて、温度を確かめる。

2 小屋裏を点検して、火気及び煙の有無を視認する。

3 二重壁の一部を破壊して視認する。

3 厨房等の火気施設周囲の鉄板内装裏面

4 押入れ(天袋を含む。)、戸袋

内部を視認して、火気及び煙の有無を確かめる。

5 瓦下地、畳の合わせ目

外部から視認して、火気及び煙の有無を確かめる。

2 消火確認が困難なもの

布団、マット、織維類、紙、木材、木くずの類

水浸し状態であっても、水切れとともに深部に残った火種の燃焼力が強まるので、消火したと思われるものは、屋外の安全な場所に搬出させる。

Ⅱ 半焼以上の延焼建物等

火種の残りやすい部分

1 モルタル壁等の二重壁内

2 柱、梁、合掌等のほぞ部分

3 焼き堆積物(前2に掲げるもの)

4 強い放射熱を受けた隣接建築物

5 風下建築物の飛火危険箇所

前Ⅰに準じて確認する。

備考

1 消防隊が前Ⅰ及びⅡについて点検する場合は、関係者等の立会いの下に実施するよう配意する。

2 鎮火判定のため破壊によらなければ確認できない部分は、関係者の承諾を得て必要最小限度の範囲で実施し、未破壊部分について、特に監視、警戒するよう関係者に説示する。

画像

上越地域消防事務組合再燃火災防止対策(建物火災)基準

昭和56年12月16日 訓令第7号

(平成8年4月1日施行)