○上越地域消防事務組合惨事ストレス対策実施要綱
平成26年12月16日
本部訓令第4号
(趣旨)
第1条 この要綱は、上越地域消防事務組合衛生健康管理規程(平成元年上越地域消防事務組合訓令第8号)に定めるもののほか、災害出動等に伴う惨事ストレスを軽減させるために必要な事項を定めるものとする。
(1) 惨事ストレス 災害出動時の業務に従事することにより、活動した職員が、その後に生じるストレス反応(別表)の心理的負荷をいう。
(2) PTSD 外傷後ストレス障害の略で、ストレス反応の症状が1か月以上持続する障害をいう。
(3) 1次ミーティング 外傷経験を受けたり、外傷的出来事(惨事)に遭遇した直後に、小集団でその経験を話し合う危機介入技法の一つをいう。
(4) 緊急時メンタルサポートチーム 総務省消防庁が所管するチームで、大規模災害、特殊災害等が発生した場合において、現地の消防本部に出向き、惨事ストレス対策の支援をする団体をいう。
(所属長の責務)
第3条 所属長は、所属職員が惨事ストレス反応の様相を呈している場合には、当該職員の惨事ストレスを発散させ、又は解消するために適切な指示を与えるものとする。
(対策の推進)
第5条 消防局長は、職員に惨事ストレス対策の必要性を理解させ、次に掲げる対策を推進するものとする。
(1) 惨事ストレス教育対策
(2) 職場環境対策
(3) 現場活動対策
(4) ストレスケア対策
(5) その他惨事ストレス解消のための必要な対策
(活動後の対策)
第6条 各隊におけるストレスケアは、次のとおりとする。
(1) 小隊長又は分隊長(以下「小隊長等」という。)は、職員に何らかの異変を感じた場合や次のいずれかに該当する現場活動又は強いストレスを受けたと思われる活動に従事した場合は、活動終了後、速やかに職員の惨事ストレス反応の緩和等を目的とした1次ミーティングを行うものとする。
ア 悲惨又は凄惨な場面での活動
イ 活動に困難性が伴い、生命の危険を感じながらの活動
ウ 未知の危険や極度の不安及び緊張感の伴う活動
エ 子供や親子の死等自分の家族を想起させるような場面での活動
オ 救出した人の死及び救出できなかった活動
カ 被害者が肉親の場合や同僚の受傷・殉職が発生した場合
キ トリアージが必要な活動
ク 衆人環視の中での困難な活動やマスコミの関心が集まる活動
ケ 過酷な自然環境下での長時間活動
コ 世間の支持が得られないなど批判や中傷を受けた活動
(2) 小隊長等は、前号の結果から職員の惨事ストレス反応が著しいと思われる場合、直ちに所属長に報告するものとする。
2 組織によるストレスケアは、次のとおりとする。
(2) 所属長は、継続的なストレスケアが必要と判断した場合、惨事ストレス対応報告書(第3号様式)により消防局長に報告し、必要な措置をとるものとする。
3 ミーティングでの遵守事項は、次のとおりとする。
(1) 知り得た秘密を漏らさないこと。
(2) 参加及び発言を強制しないこと。
(3) 内容を批判しないこと。
(4) 記録を取らないこと。
(1) 産業医
(2) 緊急時メンタルサポートチーム
(3) その他消防局長が指定する専門家
(要綱の適用範囲)
第8条 この要綱の適用範囲は、ストレスの早期解消を目的とした予防対策であり、医療上のカウンセリング等が必要な場合は、専門機関にその対応を委ねるものとする。
(庶務)
第9条 惨事ストレス対策に係る庶務は、消防局総務課において処理する。
(その他)
第10条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は、消防局長が別に定める。
附則
この要綱は、平成27年1月1日から施行する。
附則(令和2年3月17日本部訓令第12号)
この規程は、令和2年3月17日から施行する。
別表(第2条関係)
区分 | 惨事ストレス反応 |
身体的反応 | 呼吸・心拍数の増加、頭痛、下痢、発汗、不眠、食欲減退、頻尿など |
精神的反応 | 悪夢、入眠困難、想起困難、感情の麻痺、現実感の消失、注意力の減退、集中力の低下、侵入症状(忘れようとしていることが意に反して突然よみがえることをいう。)、フラッシュバック(災害のことが現実のように再びよみがえることをいう。)など |
情動的反応 | 不安、恐怖心、おびえ、怒り、悲嘆、無力感、罪悪感、悔恨など |
行動的反応 | 過度の活動性・落ち着きのなさ・深酒・過度の薬物利用(睡眠薬、精神安定剤、鎮痛剤等)など |